ショートショート小説No.3『地球を独りぼっちで愛する男の話』 1.0.0


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人間の優しさを信じられなくなったら読む話

寒田(かんだ)氏が目を覚ますと、人間爆弾にされてしまっていた。
全人類を救うための爆弾として巨大彗星に打ち込まれるのだ。
人柱になった男がいかに人類を愛しているかをウイットで描き出す本格派ショートショート。

●立ち読み
  地球を独りぼっちで
     愛する男の話

    作:桜風 涼
   はるかぜ すずし

 主人公は寒田哲也(かんだてつや)。寒い田んぼ、という苗字で、小さいときからよく苛められていた。そのため根暗な男になってしまった。
 そう聞くと、子どもたちなら「それは可愛そうだ」などと言うに違いない。

 この寒田氏は、汚い自分の部屋で目ヤニだらけの目をこすって、目を覚ました。
 仕事もなく、金もない。苛められた挙句、派遣社員になり、リストラされ、結局は駄目人間になってしまったのだ。それでもアパートに数ヶ月は住めるだけの余力があったことだけは幸せだった。

 寒田氏は、ゴミ捨て場から拾ってきた汚いテレビを点けると、ニュースで月と同じくらいの大きさの彗星が地球に向かって飛んで来ると言っているのを聞いた。
アナウンサー「巨大彗星スカリオッタは、鉛のような物質でできており、大きさは月とほぼ同じ。それがジェット機の5倍のスピードで地球へまっすぐ飛んできています。この巨大彗星スカリオッタが激突すれば、地球はバラバラになってしまいます。天体物理博士の轟喜三郎先生、ご見解を」
轟喜三郎「非常に重たい彗星です。中心は金か銀かもしれません。これが地球に激突するというのは、ちょうどスイカをゴルフクラブで思いっきり打つようなものですね」
アナウンサー「つまり、地球がスイカほどの固さで、そこに硬くて重たい、そしてものすごいスピードの物体が衝突するということですか?」
轟喜三郎「そのとおりですね。地球は確実に木っ端微塵、バラバラで、中身が全部飛び出して、こんなんなっちゃいますね」
と、粘土をこねる手つきをする。
アナウンサー「では、先生。我々はどうしたらいいのでしょうか?」
轟「核兵器で彗星スカリオッタを吹き飛ばす案もあるのですが、放射能に汚染された彗星のかけらが地球全体に降り注いで、生物は一瞬にして死に絶えてしまいますなぁ。いやぁ、困りました」


ショートショート小説No.3『地球を独りぼっちで愛する男の話』



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