Category: Books
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Description:社会的弱者へのエール!
ある製薬会社に勤める天才博士の身に起こる奇想天外な出来事。
人間の責任感とは何か、そして優しさとは何か?
それを無口な博士が教えてくれる。
ある日起こった薬害事件。
その原因を探るうちに、全世界の人間があっという間に…。
笑ったり感動したりすると死んでしまうという恐ろしい病気に、人類はどう対処したのか?
その結末や如何に?
●立ち読み
試験管の口を愛する男の話
作:桜風 涼
はるかぜ すずし
博士は今日も試験管を振っていた。彼が振る試験官の口から幾つもの新薬がこの世へ産み落とされ、数え切れないほどの命が救われた。しかし、誰も彼の名前を知らないし、知ろうともしない。
「医者はせいぜい一日に一人か二人の命しか救えない。しかし、私の発明した薬は毎日何十いや何百もの命を救っている…」
博士に言わせれば、医者の仕事ほど簡単なものはない。医者は、博士の書いた説明書どおりに薬を飲ませればいいのだ。たったそれだけで命が救えるのだ。ただ、中にはいい加減な医者がいて、博士の説明書どおりに処方しないことがあるし、患者もいい加減だ。それでも命が助かるように薬を作ってある。もちろん、難しい研究だったが、博士はせっせと試験管を振り続けて、その口からはすばらしい薬が溢れ出てきた。
(中略)
そして、博士の薬によって、本当に多くのお父さんお母さん子供やお兄さんお姉さんが救われた。でも、その結果である富と名声は常に医者にピンハネされている。だが、博士はそんなことは一つも気にせず、涸れることがない情熱と人類への愛で試験管を振っていると思われていた。
「そんなことではない」
とは博士の口癖である。
ショートショート小説No.1『試験管の口を愛する男の話』
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